• 昼夜逆転 建築・不動産
  • 設置経験者の太陽光発電評論
  • 有害化学物質評論
  • 伝統工法について
  • 化学物質過敏症について
  • YANG-SHENG
  • 工房・伍 建造中
  • 伝統工法について

    【火天の城を見て】

    学校で習う歴史教科書に出て来るような、◯◯◯年に◯◯王が◯◯を造ったというような、時の為政者が一人で造ったような記述には、昔から違和感がありました。

    名も無き人々が命がけで造り上げてきたものであり、今回の映画では造り手のプライドにフォーカスした作品であり、いつも主人公で描かれる織田信長は脇役になっています。

    そういった意味で言うと、今元気がないといわれている日本のものづくりに携わる人々にとってはプロジェクトXのような映画で、エンターテイメントで一気に観客を動員するというよりは、じわーっと拡がるような気がします。

    安土城が今は形を遺していないという事実から描いていくということを通じて、儚さと同時に感情や思想で大切な価値を見落とす人間の愚かさの余韻まで残すものでありました。

    かつてバーミアン遺跡が爆破されたように、遺産を遺物と捉えられ破壊されるのは悲しい事です。

    しかし、一気に爆破されるような衝撃的なことではなく徐々に崩されていく事実が日本には存在しているように感じます。 

    建築という観点でいくと、神社仏閣や公家式や武家式の流れとは別に、民家のつくりも独自に変遷してきました。

    白川郷や京町屋や農家の民家など、歴史や風土に根ざした建物がありますが、現在の建築基準法でいくと既存不適格とみなされます。

    福田政権のときにでた、200年住宅構想から始まり長寿命住宅について具体的な動きが出ていますが、何も目新しい技術を模索する必要はなく,本当の意味での長寿命住宅は、そんなむかしながらの不適格な建物の中にあります。

    昔の住宅を見直し何とか法律の中に組み込むように考えている流れと、今の住宅建築の流れそのままに新技術や発明品を通して長寿命に持っていこうとする流れが起きています。正誤はともかくどちらを選ぶかにかかっていると思います。

    今回の映画で客観視できたことを通して自分自身の中でも軸が変わったのを感じます。
    日本昔ばなしに出て来るような景観の中に、洋風な建物が次々に建て替えられているのは、前述の遺産が破壊されていく過程と変らないように自分には思えますが、その地域に住む人ひとりひとりが考えていくことだと思います。

    見に行く前に少し抵抗感がありました。

    イメージするのが、巨大建築やゼネコンやゴルフ場開発のようなものだったからです。

    しかし、見ているうちに原作に忠実に描かれているのでそういった思いは払拭されていきました。 

    火天の城で描かれている木組みの建築では、機械乾燥した木材をコンピュータ制御でプレカットするものとは違い、天然乾燥した木材を柔らかいうちに大工道具を使って手刻みしていき組み立てた後も調整していく手間の掛かる作業です。

    しかし、機械乾燥した木材を手刻みで加工すると硬すぎて工具が痛み、もろくて砕けてしまいます。

    広告宣伝とは無縁の大学の研究機関では、

    きちんと伝統の工程を経た造り方をした建物は、実物大の地震実験をしてもツーバイフォーや軸組金物工法よりも、はるかに耐震性がある事がすでに証明されています。

    国交省もオフィシャルではありませんが個別の案件については認めていて、住宅ローンも組むことが可能です。

    制震ゴムや制震バネや制震油圧ダンパーのように対処療法的なアプローチもいいですが、根本的な解決策としての天然乾燥材も考える必要があるでしょう。

    制震技術の導入には、構造用合板を使わなくてはいけない事が多く、コストも建築費用の5%から10%もアップすることになります。

    家を造る時には、メーカー側の宣伝を間に受けずに自然の視点を持つ事も、コスト管理への近道でしょう。

    そのことにより、体と心とお金の健康が保たれるのではないかと思います。

    特に大きな買い物の時ほど、つい気が大きくなりがちになり判断力が鈍くなるのは人の性(さが)なんですかね。

    「自然の理にかなったものが時を超える」 by火天の城

    西田俊之演じる岡部又右衛門の台詞

    「木組みは木の気持ちを聞いて組むもの。作事(建築)は、職人たち1人1人の心を組んでなすもの」

    棟梁とは、棟(むね)と梁(はり)であり文字通り建物を支える重要な役割であり、なおかつ大工集団を組織する重要なリーダー。

    棟と梁のように組織をしっかりと支えていく気配りが求められている役割で、大統領という言葉もこの棟梁を引いてできたものと聞く。

    残念ながら、僕の以前勤めていた会社では祝詞を棟梁に頼んだら逃げ出してしまった。

    なんでって聞いたら 「やったことがないから。」という、上棟式の盛り塩とお酒でお清めする程度、神主さん呼ぶには別料金。

    仕方がないから、いつも工事監督と僕が挨拶してシャンシャンだった。

    岐阜の中津川には、映画のように祝詞をあげ上棟式を仕切る神主の格を持った棟梁がおり、地鎮祭からの建築儀式一切を棟梁が行う。

    棟梁の地元は、伊勢神宮の式年遷宮の備材林としての東濃檜の産地であり、樹齢千年を超える加子母大杉があり、古くから樹を大切する文化が根付いており、寒暖の差が激しい気候と清浄な湧き水と霧によって、目の詰まった艶やかで薫り立つ檜や杉が育つ。

    長い歴史と伝統と心意気を今に伝える産地の人々によって、樹を植え育て建てそして又植えるまでを基本的にはコミュニティの中でワンストップで行っており、日本全国に出張って建てている。

    しかも、住宅メーカーの組み立て式の建物とほとんど変わらない金額で建てられるので、 棟梁の建てる家の周辺の人たちは、本当に心から悔しがる。

    「うちもあそこで建てればよかった」と

    たしかに家の場合は悔やんでも悔やみきれないものがあります。

    【込められた気】

    去年、木材の乾燥工程を見に行くことになり、ちょうど山道先生が羅盤作成をしている頃だったので、いい木材があるので見に行きましょうとお誘いした。

    ちょうどその場に居合わせた少林寺の本山で修行された気功師の長谷部さんも行く事になり、最終的には五人でぞろぞろと行く事になった。

    ひととおり乾燥工程を見学しおわり、出来上がった木材がふわ~んと静電気を帯びているようになっているので、

    試しに長谷部さんと山道さんに聞いてみた。

    イ 『この感じはなんなんですか』

    山 『静電気も含んでいますが、それとは別の気を感じますね』

    長 『ええ』

     

    高温乾燥の建材では、このふわ~んとした感じがまったくない。

    そして、木本来の香りも焦げ臭い匂いに変化している。

    建材というと物になってしまうが、もともとは生き物であり山の気を吸い込み小動物を養い次の世代の種を生み出し厳しい自然を数十年も生きてきた樹木の一部なので物扱いはしてはいけないのだろう。

    しかし、人の都合で強引に高温で機械乾燥された木材には、木に宿っている気も飛ばされてしまい、物としての建材になってしまう。

    しなることもなくもろいので、構造金物で緊結すると地震実験でもボリッと砕けてしまうわけだ。

    機械化と産業構造により、高温乾燥の流通建材は95%。

    残り5%の天然乾燥木材でも、防腐剤や防カビ剤を使わない乾燥方法を続けている製材所は、もうごくわずかしかない。

    日本中から失われつつある自然乾燥を伝承する職人の技と気質。

    山や職人の気持ちの込められた材料を使ったものであれば、住む人使う人にとって気持ちの良い空間が生まれるのは、当然のことだろう。

    地元材の推進や長期住宅制度の前に、きちんとした伝統技術が守られていく下地を創って行って欲しいと願う。

       【関連ページ】

      ●魅惑のオリエンタルビューティー

      ●養生

      ●職人気質

      ●汚された国産材

     

    |

    コメントはまだありません »

    この記事にはまだコメントがついていません。

    この記事へのコメント RSS | トラックバックURI

    コメントをどうぞ