工房・伍 建造中

当初、工房伍プロジェクトのシンボルマークをイメージしたとき、

自分の中に浮かんだのは、戦艦「三笠」のZ旗だった。

「皇国の興廃此の一戦に在り、各員一層奮励努力せよ」

日露戦争の際、日本連合艦隊の旗艦として京都の港から出撃し、当時世界に名を轟かせていたロシアのバルチック艦隊を神風で撃破した時の話はあまりにも有名であり、終戦後に敵国の戦艦にもかかわらず保存され、横須賀の三笠公園に眠っている。

Z旗とは、アルファベットの最後の文字に意味を込めて

z-flag.gif もう後がない戦い

 絶対に負けられない戦いであり

 勝つか死ぬかしかない戦いである。

 

ここ数十年間に作られかつ今も作られ続けている、いわゆる新建材の家一軒に使われる人工化学物質の量は、およそバケツ20杯分、重さにして400kg以上と言われている。

しかも、製造過程で使われる量でいったら、とてつもない量の人工化学物質が使われていることになる。

そして、30年もしないうちに建替えられていき、膨大な量のゴミがのこされていくのだ。

廃材は産業廃棄物として、市街地から離れた自然の多い場所に投棄されるか、

再生工場でリサイクルの名の下でさらに接着剤で固められるか、

焼却されてダイオキシンを撒き散らすことになる。

(焼却場の温度は、はじめは高温でダイオキシン類が発生することはないが、徐々に処理温度が低くなり、発生を抑えることはできなくなる。)

いまや有害な化学接着剤が使われているベニヤ板や集成材なのでお風呂屋さんで燃料に使うのはとんでもない、燃やしていけないゴミになっている。

大手住宅メーカーから中小の工務店に至るまであたりまえのように使われている将来ゴミになる建材は、もう取り返しのつかないほど深く人々の価値観に影響し深く入り込んできており、

無垢の材だとクレームの対象であり悪者扱いになり、傷なくピカピカの曲がらない動かない接着剤の塊のほうが圧倒的に使用される。

そしていわゆる新建材により病んでしまった人々は、今まで圧倒的なマイノリティであり社会からは変人扱いされてきた。

シックハウス問題など既に解決し過去のものであると...

化学物質過敏症は心因性によるものであると...

アトピーや花粉症や小児ガンが増え、鬱病や精神病が増え、

子ども達の視力が悪くなっていることを危惧し警告を発する医療従事者は、

医学会からはじかれて来た。

この現状を考えたときに、日本の住宅をどうして行くのかの方向性をなしにして、

環境問題や社会問題や医療財政をどうにかしようと考えるのは無理な話であり、

もうすでに待ったなしの状況に来ている。

目の前にベニヤ板を見せられても、なんとも思わない人のほうが圧倒的多数だと思うが、それを見て逃げ出す人のほうがガンにならないのをこのブログの読者の方はご存知だろうか。

戦艦三笠.jpg そして、システムや法律の前に必要なのは、

 何に価値観を持っていくのかの人々の思想であり、

 その象徴としての思想が具現化された建物である。

数の上では、誰が見ても負け戦かもしれない。

六月に仙台に行ったときの車中で、山道さんに僕は言った。

イ 『ホンダがインサイトを出してトヨタにプレッシャーをかけたように、僕らがやることで何らかのインパクトを業界にあたえることができれば・・・』

山 『そう、これは社会に対するアンチテーゼだから・・・』

工房伍の立ち上げは、いままで誤った価値観を消費者に植え付け伝統技術をないがしろにし職人を廃業に追いやり罪もない子ども達の健康を踏みにじってきた建築業界全体への宣戦布告であり、求める人々への解決と希望の光となる。

 

化学物質過敏症に対応することを売り文句して儲けようとする住宅会社の様々な不手際も、尾竹先生はずっと指摘してきた。

ほとんどの大手住宅メーカーや無添加を売り物にした建材会社との過敏症裁判では、お金にもならないのに患者の人たちの側にたって闘ってきた。

同じ方向を向いているはずの環境団体や企業からの「売名行為だ」とか「患者の言いなりだ」などの陰口や誹謗中傷にも、決して信念を曲げなかった。

どんな大手の住宅メーカーが来て大金を積んでも、研究材料にされるだけで消費者に行き渡らないといって、ずっと尾竹先生は拒んできた。

いままで尾竹先生が造って来たのは、化学物質過敏症の人の家ではなく、

建築家としての崇高な倫理観による人が住むためのあたりまえの家であり、

そのために関わってきた心ある人たちのつながりだったから。

建聖 尾竹一男先生の設計思想とノウハウと建材を、

光を求める人たちに届けるため工房伍は結成された。